コラム


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OYAJI NO UTA

by 安藤弘志

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オヤジのうた曲名リスト

 

VOL.763 * 2020/10/10


「この本を読みなさい」

日本学術会議の任命拒否問題で菅首相が拒否した6名のうちのひとり、東大大学院の
教授、加藤陽子先生の著書「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」新潮文庫版
読みました。近現代の日本史を世界史と関連づけ適切な注目点を次々提示していくことで
分かり易く説明してくれています。昭和二十年の無条件降伏への道は、すでに
明治維新直後から始まっていることがわかり、隣国の朝鮮、中国との対し方に
問題があったということに気づかされます。それに政治家が地主階級の、
軍人が農民の利益実現の期待を負っていたという対比が軍の暴走を許した
背景にあったことも、なるほどと思いました。日本軍は開戦を決めたとき戦争を
どのように終わらせるつもりだったのか、真珠湾の米海軍はなぜ無防備だったのか
などについての説明も興味深い。戦時中も株式市場が開いていたという事も驚き。
生糸が売れず疲弊していた長野県の村に、国が特別助成金を餌に満州への
集団移民を促していたという話は、現代の核廃棄物候補地に町村の応募を
促す姿とダブって見えます。この本はすべての国民にお勧めの本ですが、
菅首相には絶対読んでおいて頂きたいと思います。まだ読んでないんですよね。
読んでいたとしたら、この本の著者を任命拒否なんかできるわけがありません。



VOL.762 * 2020/09/27


「正代賛江」

熊本県宇土市出身の大相撲関脇、正代直也が本日の九月場所千秋楽で13勝目をあげ
熊本県初の幕内最高優勝を決めました。もっとも熊本は相撲興行の発祥の頃からの縁が
深く吉田司家が今に続き、横綱土俵入りに名を残す不知火という横綱も輩出しています。
私が物心ついた昭和三十年代には栃光という大関が出て同じ九州出身の佐田の山と
ともに応援していました。しかしその後は目立った活躍をする力士は出ませんでした。
正代関は熊本ローカルニュースで佐田の海関と共に報じられる程の目立たぬ存在でしたが
今年になり心技の充実を見せ、目覚ましい上昇を果たしました。横綱不在の場所とはいえ
危なげない相撲の取れる実力者に成長したのは間違いありません。誇らしいことです。
熊本出身の個人競技スポーツ選手で功成り名遂げたといえば、現役では女子ゴルフの
上田桃子・不動裕理、競輪の中川誠一郎などが挙げられます。長くトップに君臨する
タイプではなくとも、ここぞというチャンスをものにする底力を秘めていると感じられます。



VOL.761 * 2020/08/26


「ダム治水論の危うさ」

今まで触れずにいましたが、7月豪雨で被害に遭われた熊本県南東部をはじめとする
皆様にはあらためてお見舞い申し上げます。新型コロナ感染症の影響でボランティアは
もちろん、義援金などの支援が乏しくなっていやしないかと心配しています。一方では
大災害に乗じるようにしてダム推進論の声があちこちに見られます。先日の豪雨検証
委員会で、国交省が「もし川辺川ダムがあったら人吉市付近での球磨川水量が
四割減らせた」と報告したことが報じられましたがよく読んでみるとダムの保水力の
最大想定値を単純に引き算したもので、それでも市街地の浸水はまぬがれません。
今後詳細に公平に検証が進められれば明らかになるでしょうが、事は単純では
ありません。球磨川は人吉市付近で東からの本流と北からの川辺川、南からの
胸川などの河川が合流しています。今回の雨量は明らかに東と南が多くて
北側の相良村から五木村にかけての川辺川流域は相対的に少なかったのです。
線状降水帯は西から東へと掛かるので球磨村などの中流域が最も雨が強く、
東と南からの水が人吉市の西の中流域で流れなくなり溢れだしてしまったのです。
川下りを経験された方ならお分かりでしょうが人吉市街を離れると川は
狭く流れが急になっています。ダム作っていれば…と単純に言えることでは
ありません。地元でも土木建設関係者はダムを造りたいのでしょうけど。

人吉市 球磨川
今回の水害で流された人吉市下流部の西瀬橋(2005年撮影)



VOL.760 * 2020/07/24
 


「21世紀のさすらい」

1971年のNHK単発TVドラマ「さすらい」に関しては遠藤賢司の項でも少し触れましたが、
当時高校生だった私に多大な情緒的感動をもたらしてくれました。それから半世紀
を経た昨晩、NHKが再び時代につきささるドラマを放ってくれたのです。各局の看板
ドラマの収録が感染症対策のため軒並み中止される中で、ドラマ収録の再開を
手探りで進めるメイキング部分を冒頭に配して本編へとつながります。母の代から
家業がスナックという下町の一家が、コロナ禍に遭い自粛警察にも非難され
廃業も覚悟する中から不死鳥のごとく甦れるのか…題して「不要不急の銀河」。
「さすらい」は多分に佐々木昭一郎の演出作品として当時の若手映画監督にも
影響を与えるものでしたが「銀河」は現NHKを代表するドラマチームの結集による
作品です。熊本出身の井上剛は「あまちゃん」「いだてん」の演出も担当。
又吉直樹の脚本に大友良英の音楽、主演はリリーフランキー、夏帆、片桐はいり
などですが、スナックの常連客を演じたでんでんさんのアベノマスクが半分
ひっくり返った姿がなんとも印象的。物語のクライマックスには中島みゆきの
「ファイト!」が重要な効果をもたらします。我々の暮らす世間において
不要不急のなりわいの意味が、片桐はいりのつぶやくひとこと「私の人生
怒られっぱなし」で救いへと導いてくれました。立川談志言うところの
人間の業の肯定に通じるものを感じてほっこりと涙を一粒流しました。
見逃された方はNHKプラスで暫く無料視聴が可能ですのでおすすめします。



VOL.759 * 2020/06/30


「感染者数の意味」

日本では「新型コロナウイルス」と呼ばれる感染症について、6月末の時点で
感染者数がおよそ1万9千人、それによる死者が千人弱と集計されています。
何年もあとになってから、あれは何だったんだと思うかもしれないので念のため
記録しておくことにします。初夏になるとともにウイルスの活動も鈍ったのか重傷者は
医療体制を脅かすほどには出なくなり、経済活動も再開されている今日この頃です。
その割に東京の感染者数は連日50人を超え、官房長官は検査数が増えたから
数字は出ているがそれほど心配ないとの見解を述べているようです。医師の
岩田健太郎氏の著書「感染症は実在しない」を読んで知ったのですが、2009年の
初夏にインフルエンザのPCR検査をしてみたところ、驚くほどのインフルエンザ陽性
が検出され、そのほとんどは従来の迅速検査では陰性のだったとのことです。
ウイルス保有と発病をイコールで結べないとするなら、努力すべきは
感染そのもの予防よりもサイトカインストームや血栓症の予防であり、
国別・都道府県別の感染者数を報道する意味もそろそろ考え直すべきでしょう。



VOL.758 * 2020/05/30


私は死にたくない」 ジェリー・マリガン

「私は死にたくない」は1958年のアメリカ映画”I WANT TO LIVE!”の邦題です。
前年のフランス映画「死刑台のエレベーター」「大運河」に続いてモダンジャズを
全編に渡り効果的に用いた作品として知られています。女主人公が不幸の連鎖によって
無実の罪ながら死刑執行室に送られるという映画の筋は知っていますが、実際に
見る機会は持てていません。でもジェリー・マリガン・セプテットによるLPレコードは
高校生の頃からジャズ喫茶で度々聴いた記憶があります。特にB面二曲目の
「バーバラのテーマ」は物悲しさと心地よいメロディが同居する印象深い曲です。
ジェリー・マリガンは既に1996年に亡くなっていましたが、つい最近には
同じウエストコーストジャズの巨匠リー・コニッツがCOVID-19で亡くなったと聞いて
この表題作を思い起こした次第です。こうなったら落語の「地獄八景」じゃないけど
あの世のクラブでのオールスタージャムセッションが聴いて見たい。


VOL.757 * 2020/05/02


「我慢ウイークの憂鬱」

今年の大型連休は今日からの五連休が主体ですが、全国的に穏やかで日中は暖かく
なっています。いつもなら報じられる帰省ラッシュのニュースの代わりに交通機関も
高速も混雑激減の様子が伝えられています。ウイルス感染症を恐れる自治体の首長が
「今は来ないで下さい」と呼びかけ、特に都道府県を越える移動を自粛しろとのことです。
嘆かわしいのは県境に関所を設けて、役所の人間が来訪者に引き返すようお願いしていた
ようで、そんな余裕があるならなぜ感染者が出たときに収容する態勢の準備に振り向け
ないのか不思議です。「ステイホーム」の呼びかけも今や国民的精神運動の雰囲気ですが、
我慢するだけで収束が早まる理屈はないのです。医療崩壊や社会不安を抑えながら
徐々にゆっくりウイルスを受け入れるしか道はないのでしょう。十年前の新型インフルエンザ
の時にも対策の決定打は特に無いままうやむやに収束した記憶しかありません。
「感染の恐怖を煽ることを感染症対策の柱とした行政と、それに無批判に乗った
マスコミの過剰報道により、感染者達は職場や学校から排除され…」
この文章は
2009年の5月に九州薬害HIV原告団が新型インフルエンザ流行を受けて
出した緊急アピールの一部です。古くはハンセン病の時代から、そして今世紀に
入ってからも定期的に同じようなことがくり返されていることに唖然とさせられます。



VOL.756 * 2020/04/04


「 永遠の絆 」 ニッティー・グリッティー・ダート・バンド

蔓延する感染症に恐れをなして桜が満開にもかかわらず、花見の自粛が各地で
呼びかけられています。実は当コラムでは2008年の春からほぼ毎年、自宅での
「窓から独り花見」を取り上げております。遠目に見える花と、お酒と、年ごとに
これと選んだ音楽に浸るひとときは至福ですが、今はことさらに越し方行く末に
しんみり思いを馳せたくなります。世界がこのままずるずると下降の一途なのか、
今までにもそうだったようにぐるっと輪を描いたように、いつしか回復するのか、
Will the circle be unbroken? 神様に問いかけたくなります。
表題の古いフォークソングを知ったのは高校時代の終わりごろだったでしょうか。
あの頃は無知の力で不安を抑えていたところが有りましたが、今では
人の世はこんなもんだという達観と諦めのカクテルを飲んで紛らせております。
総理大臣のマスク姿と、2007年の絆創膏大臣の姿がダブって見えたりして。



VOL.755 * 2020/03/13


「十年前の再現?U」

今日は愛聴していたラジオ番組「すっぴん!」最終回でしたが合間に流れるニュースでは
株価の大暴落が報じられ、1990年のバブル崩壊時期以来の低水準だとのことです。
それにつけても新型コロナウイルスへの対応が、感染の実害よりも弊害を増していることは
明らかであるのに、安倍政権の今後の舵取りがつくづく心配になります。下手をすると
大胆な経済の下支えと称して我田引水的に税金をつぎ込もうとする動きが出そうです。
十年前の新型インフルエンザはアメリカ大陸発祥で米国内でも2009年前半にパンデミック
が起きていますが米政府もメディアも安心情報を流してパニックを防いだようです。
「新型ではあるが、重症化することはまれであり、冬に流行る通常のインフルエンザと
同程度のものと考えてよい。」
といった内容です。それに比べ今の日本では、首相の
「小中高すべて休校」の掛け声のため社会全般が自主規制に追い込まれ、経済は
最悪になるし、何とか守ろうとした五輪開催も危うくなっています。マスコミはといえば
「クラスター」の言葉で不安にさせて、感染者の人権を危うくする報道など、過去の
感染症患者への差別や偏見を生じさせた反省が欠けた姿勢が多く残念です。
十年前の発生原因として多国籍企業の養豚場での劣悪な衛生状態が豚インフルエンザ
の発生を招いた疑いが強かったようですが、深く追求されることは無かったようです。
今回の新型コロナの由来についても謎が解かれる日は来るのでしょうか。



VOL.754 * 2020/02/28


「十年前の再現?」

今回のコロナ騒動もいよいよ佳境に入ったようでここ二三日に社会生活を揺るがす
動きが相次いでいます。株価は暴落しましたが、一時の「日本売り」を想わす円安は
なんとか納まったようで一安心。コンサートの中止、スポーツ試合の無観客実施は
バタバタとドミノ倒しの如く広がって、場外馬券まで閉鎖されましたが、今のところ
映画館はやってます。驚いたのは昨日の熊本県内のトイレットペーパー争奪の動き。
昼過ぎにたまたまスーパーに行ったら紙製品売場がガランとして超高級ティッシュだけ
数個売れ残っていました。マスクがいつまっでたっても手に入らないので、デマが
不安に火をつけたのでしょうか。先日、実家の整理をしていたら2009年の古新聞が
出てきました。一面トップに新型インフルエンザの文字が目立ちます。当時は
麻生さんが首相だったんだと気づきました。夏が来ていったん流行が下火に
なりますが、次の冬に従来のインフルエンザと加重で流行したら大変だと
ワクチンの大量備蓄をしたら、ほとんど無駄になったことなどあったんですよね。
このころ株価の大暴落も起きているし、自民党政権の末期が今の世と重なります。



VOL.753 * 2020/02/07


「よろしかったら」 梓みちよ

少年時代の私は新型コロナに憧れていました。中学一年の時に全く新しいコロナが
出ると聞いた私は、自転車で街の反対側のはずれにあるトヨペットの販売店に
発表会を見に行きました。それがコロナマークU、斬新で洒落ていてカタログを大事に
持ち帰ったものです。30代の頃はしばらくワインレッドのコロナを愛車にしていました。
ところで今、大騒ぎになっている新型コロナウイルスに関しては、熊本ではマスクが
売り切れている位で街は平常です。それよりも例年ならインフルエンザの警報が
出るのが当たり前だった今頃なのに新年に入って流行が納まっているのは不思議です。
逆にアメリカではインフルエンザの患者が1900万人、死者が1万人との話を
CNNや日経新聞のサイトで見ましたがTVニュースで見ないのはなぜなんでしょう。
黄色人種がコロナに罹って、米国人がインフルに罹る大流行の裏に一体何が…。
「人種特定生物化学兵器」という言葉が十年前に出た本に載っていました。
表題曲は訃報が届いた梓みちよさんの1979年のヒット曲。阿木燿子/筒美京平
の作によるナンバーは今では考えにくい新発売の煙草のタイアップ曲で、
CMにつられて「パートナー」という白い箱の煙草をよく吸った思い出もあります。



VOL.752 * 2020/01/05


「令和のゴボウ天」

長い正月休みも最後の日曜の陽が傾き、日本じゅうのあちこちでため息が聞こえるような
気がします。熊本のお正月は雲ひとつ無い上天気の日が多くて寒くても過ごしやすかった
印象です。三が日の朝はBS-TBSの落語研究会放映が復活してくれて他のTVは
つまらなかったけれどまあ満足。昼の時間は例年の如く西宮さくらFMを流してました。
佐高信の25年前の本「スーツの下で牙を研げ!」を読んでいたら引用された
高浜虚子の句… 去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの
に目が留まりました。お酒のアテにちょうどおでんのゴボウ天が皿に載っていたので
練り物の中心を貫くゴボウのような芯を、自分も持っているだろうかと自問させられます。
新しい年に何が起ころうと、災害があっても、経済危機があっても、近くで戦争があっても、
対処すべきことに自分の芯のようなものを持っていられるか、考えたいと思います。


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