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OYAJI NO UTA

by 安藤弘志

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オヤジのうた曲名リスト


VOL.689 * 2015/12/26


「福島・沖縄 海の憂い」

2015年がまもなく終わろうとする土曜日、いつもより念入りに新聞を読んでいたら、
二つの記事に心が揺らされました。まず、福島原発の汚染水が11月以降、一日当たり
200トン以上増えていること。想定以上の汚染度のため、浄化して海に流す目論見が
狂っているらしい。東電はさすがに、汚れたまま海に流したりはしないでしょうが、何かの
マチガイで海に流出した場合、「気づかないフリ」という誘惑に勝てるでしょうか。
とにかくコントロールされていないことが明白で、水産物への影響も気がかりです。
そして、沖縄の海では県と国の裁判争いの決着がつかぬまま、年明けにも
「海中へのコンクリートブロックなどの投下を伴う護岸工事に踏み切る構え」なのだ
そうです。希少生物の宝の海を岩塊で踏みにじる理由は、一度決めたことを
やめたくない政治家・役人のメンツでしかないことは明白です。諫早湾で懲りた筈なのに。
福島の海と沖縄の海の憂いに寄り添いながら、海を穢す邪悪なものたちが、
来年こそは滅びうせますようにと心から祈ります。



VOL.688 * 2015/11/15
 


「365日の紙飛行機」 AKB48


秋元康の作品はオヤジノウタ世代よりずっと後ろへずれる印象もありますが、彼自身は
ほぼ同世代人なので、ものによっては妙に愛着を感じさせられることがあります。
昭和50年代から60年代はじめにかけて、アナログレコードの終末期にアイドルに提供した
楽曲はRS熊本でも扱っております。ところで朝ドラマ「あさが来た」の人気をささえる
大きな要素が主題歌の表題曲じゃないでしょうか。冒頭のつかみのシーンにじわじわと
フェードインして主題歌のイントロに切替わり
♪朝の空をみあーげてー 今日という一日が 笑顔でいられるように そっとお願い…
日本人のかなりの部分が、朝聴きたいなと感じるような出だしが上手。
機嫌の悪い人も ♪思い通りにならない日は あした頑張ろう… と続けられたら
すこし気分が明るくなって、三度音程でハモる部分でさらに暖められます。
うまいこと作ってるなと、つくづく感心させられます。物語は「あさ夫婦」と「はつ夫婦」の
対照を軸に描かれていますが、私の場合新聞の朝刊で夏目漱石の「門」を
番組の前後に読んでるので「宗助夫婦」とも較べてしまいがちです。びっくりぽんの
日本の近代化を経て僅か数十年で人の悩みも大きく様相が変わるものです。


VOL.687 * 2015/11/15
 


「テロよりも 武器を憎む」


日本時間の土曜の朝に起きたパリの同時多発テロ事件を悲しんで、この週末は
世界各地が自由・平等・博愛を象徴するとされるトリコロールに染められました。
「テロはいやだ」の意思を示すこと
は悪くないでしょうが、世界で起きていることの
意味をひととき深く考えてみる必要もあると思います。
「テロ」とわずか二文字で扱われますが、これを実行した人間は自らの命を捨てます。
いっぽうシリアではアメリカ軍が遠隔操縦の無人機でISの主要人物を「空爆」します。
前者が悪で後者は善だと説明できる理由を私たちは知っているのでしょうか?
TVや新聞のニュース解説でもそんな説明は聞かせてもらえません。
前にも書きましたが、憎むべきは別の二文字、「武器」じゃないでしょうか。
近ごろ大国、とくにアメリカは自国軍の死傷者を出さないために他国のある勢力
(例えばシリア反政府派)に武器を渡してテロ組織と戦わせます。しかし実は
渡した相手が敵と通じていたり寝返ったりして武器がテロ組織の戦力になります。
現代の戦争はテロやゲリラが相手ですから終わりというものがありません。
武器を売ったり扱ったりすることで生活する者にとっては、喜ばしいことでしょう。
真の平和なんてものが現れたら、彼らは商売あがったりなのですから。
でも私は夢想したい、地球規模のガン・コントロールがなされる日のくることを。
♪Gonna lay down my sword and shield Down by the riverside
I Ain't gonna study war no more


VOL.686 * 2015/10/10
 


「恋する二人」 ビートルズ


1964年10月10日も土曜日でした。いつもどおりに午前中四時間授業があって帰宅。
お昼ごはんを食べると、いつもどおり友達の山田君宅へでかけました。当時から
土曜午後一次台は大河ドラマの再放送が放映されていて、友達の弟や母も一緒に
「赤穂浪士」を白黒の画面で見ました。東京オリンピックを機にカラーTVが普及した
などと勘違いした解説をたまに聞きますが、当時カラー画像で送出される番組自体が
少なく大河ドラマも白黒。けっこう裕福だった筈の友達の家にもカラーTVはまだでした。
NHKで「赤穂浪士」が一時四五分に終わるといよいよオリンピック開会式の中継が
始まった筈ですが、我々はいつもの土曜日と同じく教会の土曜学校へ出かけました。
杉並区の衛生病院となりに今もあるSDA天沼教会に集まった人数はさすがに
いつもよりは少なかった気はします。小学三年生とはいえオリンピックに興味は
あった筈ですが、当時からいくばくかの反骨の気風は持ってたのでしょうね。
中学生の姉は学校で国立競技場の競技参観も有ったのですが、小学生は
開会数日前の聖火リレーの盛り上げに、甲州街道に出かけただけでした。
アベベが優勝したマラソンも甲州街道でしたが、見に行こうという話は出ませんでした。
水曜日の二時頃なので学校の授業が普通にあったのでしょう。
表題曲は当時の洋楽ヒットチャートの一位。映画「A HARD DAYS NIGHT」の一曲
ですが、当時の少年の興味はポップス番組には未だ向かわず、ラジオ関東の
野球中継を聴いていた記憶しかありません。そういえば僕も山田君もセリーグは
阪神のファン。東京でバッキー、村山を応援していた少数派少年ファンでした。



VOL.685 * 2015/09/14
 


「スペインの雨」 マーニ・ニクソン


栃木・茨城そして翌日宮城県に広がった豪雨による大洪水。被害にあわれた方に
お見舞い申し上げます。私も九州北部豪雨を経験しましたが、あのときには朝8時に
2m近い泥水に浸かったのが、昼過ぎには足首程度の泥を残して水は引きました。
河岸段丘地形で火山性土壌の九州に較べて、平板で粘土質の関東平野で溢れた
水はなかなか引かないようで復旧の困難が案じられます。二言めには「国民の命と幸せ
な暮らしを守るため」とおっしゃる総理大臣にはぜひ災害対策に当分専念して頂きたい
ものです。ところでTVのニュース映像を見たあと思わず口ずさんでしまったのが、
"The Rain in Spain stays Mainly in the Plain" 「マイフェアレディ」の挿入歌の表題曲
でした。関東の雨は主に広野に降る、なんて不謹慎な連想をして、すみません。
歌手名がオードリー・ヘプバーンじゃないのは、ご存知の方も多いでしょうが、
当時よくあった歌唱のみの吹き替えだからです。再放送中の「あまちゃん」でも
最後に鈴鹿ひろ美本人歌唱の「潮騒のメモリー」が出てきますが、オードリーも
晩年に本人歌唱の音源を公開しているようです。一度聴いてみたい気もしますが、
「ティファニー」と違ってマイフェアレディの曲は吹き替えの方が合っているでしょうね。



VOL.684 * 2015/07/26
 


「ナウ'ズ ザ・タイム」 チャーリー・パーカー


昨日の夕方から熊本市内中心市街地で行われた"STREET ART-PLEX" JAZZ OPEN。
今年で13回目ということですが、真夏の夜のストリート・セッションは各所で盛り上がって
無事終了しました。福岡・熊本をはじめ九州各所から、さらに大阪・名古屋・韓国などの
活きの良いジャズ・マン/ウーマンが集結して、アーケードや美術館など八箇所の会場で
交代で、あるいは混ざり合いながら熱い演奏が、しかも無料で提供されました。
商業活動の郊外への移転に対抗できずに中心市街地が衰退する例の多いなかで、
車を使わずに歩いて回れる市街地の潜在魅力を積極的にプロモートする活動は、
今後も活力を持って続いて欲しいものです。市のバックアップは有るようですが、
ラジオ局などメディアも上手にサポートしていただけたら有り難いところです。
表題曲は当日出演バンドからテナー奏者が3人集まって見事なソロ回しで
盛り上がったスタンダードの曲名です。考えてみれば予備校講師がはやらせた
決まり文句「いつやるか?」の答えは70年前のジャズマンが吹いていたのです。
 


欲を言えばビリー・ホリデイが表紙なんだからJATP風のギター入りバックでヴォーカルを聴きたかった
 



VOL.683 * 2015/07/01
 


「乗りたくない!リニア新幹線」


JR東海の新幹線「のぞみ」車内での焼身自殺火災事件の報道に接して感じたのは、
今の時代、突然出現する災厄に対して常に心のどこかに覚悟を準備しておかねば
ならないということですね。今度のように巻き添え死者も出る大事にならなくても、
電車内での突然死とか、自動車運転中の意識喪失の事例は数多く耳にします。
それにしてもつくづく思うのは同じJR東海が建設を決めているリニア新幹線が、
私の生きているうちに完成したとしても、そして何かのマチガイで無料で招待され
たとしても、絶対にお断りするだろうなということ。深い地下や山地のトンネルが
半分以上になる路線の長い駅間でトラブルが発生したときに、たとえ重大事故でなくても
真っ暗な車窓を見ながら長時間待たされる不安と恐怖を考えれば当然でしょう。
たぶん航空機並みの保安検査がされるのでしょうが、似たような手間と運賃ならば
精神衛生上はるかに気分の良い飛行機のほうを選びますよね。
人口減少のこの国で巨額の投資に見合うインフラだとは、とても思えないのですが、
利権のおこぼれにあずかる勢力が反対の声を掻き消そうと動くのでしょうね。
後の世代が維持費に苦しむだろう新国立競技場など無理なプランがあちらにもこちらにも。
 



VOL.682 * 2015/06/07
 


「哀愁のレインレイン」 チェリッシュ


梅雨入りして一週間ほどでしょうか。わりと爽やかな晴れ間が数日おきにあるので、
さほど鬱陶しくないタチの良い雨季の始めになっている熊本地方です。まだ本欄で
取り上げていない雨のウタを探していたら1975年の表題曲のレコード盤が出てきました。
中サビの ♪レイン レイン ふるあめにー 身ーをまーかーせー の部分が心地よく
ちょっとくらいは濡れてもいいかという気にさせてくれます。チェリッシュ作品を多く
手がけた、林春生・馬飼野俊一コンビの作です。ついでにこの頃のタウン情報誌が
見つかったので読みふけりました。「ぷがじゃ」の75年7月号です。高橋秀夫氏の
イラストが表紙、B6判64頁で定価百円でした。LP「ナイアガラムーン」の紹介には
大瀧栄一とあります。ティンパンアレイのラストコンサートの宣伝もありますね。
8.8ロックデイはこの年まで万博公園の開催で上田正樹やウエストロード、むらさき、
めんたんぴん等々出演、入場料は2日通しで1300円と超お買い得。ちなみに
7月3日京都会館でのチェリッシュ・リサイタルは2500〜1500円してますね。
 




VOL.681 * 2015/05/10
 


「幻想交響曲」 大山平一郎+熊本交響楽団


早いもので去年のドヴォルザーク特集からまる一年、第99回の熊響定演を楽しみました。
今回の指揮者は大山平一郎さん。前半がラフマニノフのピアノ協奏曲2番、後半が
ベルリオーズの大作「幻想交響曲」という聴き応えのあるプログラムに期待が高まりました。
コンチェルトのピアニストは若林顕さん。個人的には女性ピアニストの方を選んで
欲しかったのですが、ちょうど宮崎国際音楽祭とかち合って、上原彩子、仲道郁代など
あちらは5人出演と、うらやましいことですが、いずれは熊本でもと期待することにします。
さてベルリオーズのほうですが、第3楽章のオーボエの掛け合い。客席奥に演奏者を
配することも多いようですが、今回は上手のドアを開けて舞台裏から音を出しました。
たぶん色々工夫されたのでしょう、指揮者とぴったり合い音のバランスも良好でした。
そして4楽章「断頭台への行進」前半で大山さんが指揮棒を飛ばして素手で振り続けると、
がぜんオケのテンションも揚ってアンサンブルがノリノリになるのが感じられました。
棒は首席チェロの前に落ちて、5楽章前に渡されましたが、わざとじゃないですよね。
この曲特有の大小二つの鐘も立派なのが用意されていてCDで聴いていては判らない
質感のある不思議な耳触りが迫力を加え、フィナーレへなだれ込みました。
ローカル・オーケストラと思えない上出来の"幻想"を楽しませていただきました。
来年の百回記念は1月に山田和樹を迎えてマーラーの9番に挑戦とのこと。
手ごろなお値段で聴き応えのある内容。熊響の演奏会は熊本名産品のひとつです。



VOL.680 * 2015/04/21
 

「オデオンだった」

今日はポール・マッカートニーの日本ツアー初日。まもなく大阪ドームでコンサートの
幕が開く時間です。先日思い立ってロッキング・オンでおなじみの松村雄策さんの小説
「苺畑の午前五時」を手にとって一気に読んでしまいました。1966年の武道館
中学三年で出かけていった彼は、ちょうど私の姉の世代に当たるようです。
1965年まで東京に住んでいた私ら姉弟がもしそのまま居たとしたら周りで起きたかもしれない
物語が不思議なリアリティを喚起して、読後もしばらく胸がざわつきました。そして、
日曜日にBSで山田洋次監督の「虹をつかむ男」を偶然見たのです。昔、映画館の名前に
よく使われたオデオン座という田舎の映画館が舞台の懐かしい映画です。
オデオンといえばビートルズをリアルタイムで聴いた日本人ならピンとくるトレードマークです。
ビートルズのプライベート・レーベル「アップル」が出来る前の日本盤には必ずついていました。
オデオンの意味を知りたくなって検索してみるとギリシャ語で劇場とあります。
観衆や聴衆を意味するオーディエンスと同じ語源なのでしょう。ところで、wikiで
オデオンレコードの項を開くと驚きの事実が当時の関係者の話として載っていました。
ビートルズの日本盤発売の権利を持つ東芝が彼らを売り出すに当たって、
当時関係のあるEMI傘下のレーベル(下の写真の紙袋に印刷)の中からイメージの
良さそうな名前を探して勝手につけたのだそうです。Oの字がレコード盤を連想させる
しゃれたロゴタイプもその時に日本で独自にデザインしたものですと…!
確かにエンジェルやキャピトルなどクラシックの香りのするレーベルよりも合いますけど。
しかしローリングストーンズはロンドンレーベルから出ていたのは、これいかに?
日本盤のレーベル事情のいい加減さを学んだ楽しいひとときではありました。

 



VOL.679 * 2015/03/20


「 七度狐 」 桂 米朝

歴代の名人上手と較べても明らかに長命の部類に入っていたので、誰も心の準備は
出来ていたかも知れませんが、今年の桜の季節は迎えることなく旅立たれてしまいました。
折から日本のラジオ放送九十周年記念の行事が行われています。米朝さんの生涯も
だいたい重なるというのも奇遇なものです。(大阪のJOBKとは同い年)
私は残念ですがナマ米朝を聴く機会を逃してしまいました。学生時代に西梅田の
サンケイホールで独演会を身にイコカと思ったことはあるのですが、当時はジャズの
ビッグネームの来日も多く、確かマル・ウォルドロンの方を選んでしまいました。
ところで大御所の大往生というと、中島らも「寝ずの番」という傑作小説を思い浮かべ
ますが、あれはやはり六代目松鶴師匠あたりが似合うので、米朝師匠の場合は、
穏やかなお見送りになるんでしょうかね。小説といえば小松左京が「たちぎれ線香」の
若旦那と米朝師匠をからめて人情味溢れるフィクションを構築した「天神山縁糸苧環」
という傑作も読み返してみたくなりました。でも考えてみればここらへんで挙げた名前が
みんな故人なんですよね。あちらの世界のほうがどんどんと賑やかになっていくようで。
本年版の桂雀々「地獄八景」での大師匠の扱いも楽しみ。(「近日来演」とか言ってた)
誰も訊いてくれないけど「イチオシを挙げて」といわれたら何だろうと考えました。
百年目」は当欄でもとりあげましたが「軒づけ」や「こぶ弁慶」「どうらん幸助」も
愛着があります。でも何度聴いても飽きないのでそのぶん細部まで耳に残っている
一席が東の旅の中の「七度狐」なので今のところこれを私のベストということにします。



VOL.678 * 2015/02/07
 


「"花燃ゆ"をじっくり見よう」

たびたびのNHKネタになってしまいますが、要注意人物が会長に就任して一年、おそらく
内部では上からの有形無形の圧力に対して有形無形の抵抗を必死でされている局員の
皆様がいらっしゃることは想像に難くありません。今年の大河ドラマは総理大臣ゆかりの
山口県(長州・萩)を舞台に、戦前の修身教科書にとりあげられた人物吉田松陰に脚光を
当てる「花燃ゆ」で、第七回まで放送が終わりました。正直「見たくもねえや、ご丁寧に
ヒロインは連立与党に配慮して創価学会女優だし」とも思いましたが、見たらなかなか
いろんな意味で面白いんです。国禁を犯して収監された牢屋にひとり後家さんの女囚が
居て松陰が言葉を交わしたり密かに心引かれるエピソードが結構詳しく描かれています。
ドラマを飾るフィクションかと思う向きもあるでしょうが、松陰は徹底したメモ魔だったらしく、
入牢中の出来事の詳細や牢の見取り図まで史料として残っており、脚本はかなり
史実に沿っている模様です。高須久子は実在の人物で、被差別部落民の歌舞音曲に
興味を持ち、深く関わりすぎた罪で投獄されたようです。久子を通じて部落解放の問題に
通じた松陰の想いは、弟子の吉田稔麿に継がれ長州藩の「屠勇取立」へつながります。
松陰は「忠君愛国の権化」として著作の中から意図的に編まれた「松陰先生のお言葉」を
通じて戦前の国民教育に徹底的に利用されました。しかし人間像の詳細を調べれば
調べるほど彼の熱血的な反体制活動家の側面がぞろぞろと掘り出されて来ます。
脚本家や演出陣がこれからどんな松陰像を描き出すか分かりませんが、じっくりと
見守ってみたいと思います。ちなみに松陰の人間像と歴史的評価の変遷については、
NHKブックスから1980年と1991年に出ていた田中彰著「明治維新の勝者と敗者」、
「松陰と女囚と明治維新」に詳しく書かれています。門外漢の私をこのような書物と
引き合わせてくれたのも、大河ドラマ「花燃ゆ」なので感謝しておきます。



VOL.678 * 2015/02/07
 


「根本から考える」

今朝のNHK-TV 「週刊ニュース深読み」の特集は「血が足りない!どうする献血」でした。
スタジオのゲストや視聴者が知恵を絞って、さまざまな献血者増加へのアイデアをああでもない
こうでもないと出し合いました。でも本当に「血が足りない」のか疑問に考える意見は、
まったく有りませんでした。無償が前提の献血に頼っていながら、使用する医師や製薬会社が
利益を得る構造になっていたら問題だろうし、不必要な血の使用が無いといえるのでしょうか。
輸血が原因となる様々な感染は100%防ぐのは困難のようですし、医者も本音では自分や
家族が輸血されるのは避けたいと考えているという話を聞いた記憶もあります。
「血が足りない」というのなら医療や製薬で血を使わず済ませる方法を探すことに、
少なくとも半分の努力は振り向けるべきなのに、そんな議論はばっさり削った前提の上に
番組は進行して終わりました。世の中で何が問題なのか提示するのはマスコミであったり、
政治家であったりします。時には議論の向かう方向を意図したような問題の立て方があります。
そんな意味で昨日国会でテロ非難決議の内容に独り異を唱えた山本議員の主張などは、
大手メディアには黙殺されたようですが、よく考えるべき根源的な議論だと感じました。



VOL.677 * 2015/01/21
 


「反武器主義しかない」

フランスの新聞社襲撃事件と、それに対する政治家を含む各国民の反応が一段落して、
原油価格やスイスフランの動きなど経済に皆の目が向いた矢先に、日本の総理が
中東歴訪に出かけてやっかいなお土産を背負わされて帰ってくることになりそうです。
200億円という人質の値段は、今年度予算のオスプレイ購入を2機減らせば賄える
金額ですが、テロというよりも恐喝に金を払ってしまえば後々も脅され続ける羽目になります。
改憲論者はそれみたことか軍事力が使えないからナメられたと言うかもしれません。
しかし想像してみるならば、憲法の制約がなく相応の攻撃能力の有る軍を持っていたなら、
政府は自衛隊員を極度の危険にさらしながら二人の日本人の救出作戦を決行するという
辛い選択肢も考慮しなければならなかったことになります。誰かやれますか?
幸せなことに現実の日本国民は実際に戦争したり、自衛隊員に戦争してもらう負い目を
感じなくて済んでいますが、安倍首相は十字軍に参加したと名指しされました。
国民のひとりとして政府に圧力をかけろとも言われていますのでいったいどんな態度を
取るべきかと一晩寝ながら考えました。結局、「反武器」主義を掲げるのがいちばんいい。
小は軍用ナイフから大は核兵器まで、あらゆる武器をなくす方向に向けて判断すればいい。
「私はシャルリ」でなく、「人を撃つな」。「国際社会のテロとの戦いに貢献する」でなく、
「あらゆる武器の廃棄に貢献する」こう宣言するべきだと思います。どんな場面でも、
どちらが武器を減らす方向になるかだけを判断基準に考えてみませんか。

 

VOL.676 * 2015/01/06
 


「外は寒いよ」 J・スミス&W・モンゴメリー

正月休み明けのNHKラジオ「午後まり」で掛けていただいて思い出したスタンダード曲です。
「 Baby, It's Cold Outside 」の原題を持つ何とも粋な小唄は1944年の作といいますから、
70年前の太平洋戦争まっさかり、日本人は塗炭の苦しみのさなかにこのアメリカ人はといえば、
「かえらなくちゃ〜外は寒いよ、一緒にいようよ〜でもぉ…」などと延々と熱い掛け合いです。
ダイナ・ショアエラ・フィッツジェラルドが男性歌手とデュエットする盤が有名ですが、
ジミー・スミスのジャスオルガンとウェス・モンゴメリーのギターが掛け合いをする表題盤、
ヴァーヴから出たアルバム「 The Dynamic Duo 」、二人が腕をからませてホットドッグを
ほおばる印象的なジャケットが記憶に浮かびました。オリバー・ネルソン編曲のビッグバンドが
バックを務める派手なアルバムの最後に、しっとりと聴かせる暖かいデュオが素晴らしい。
それにしても昨年末から正月に掛けて、寒さの厳しい天候で外出もおっくうな日々が続きます。
見渡す範囲の経済状況もお寒い様子で、大発会翌日の株価は500円超の下落とか。




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