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OYAJI NO UTA

by 安藤弘志

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オヤジのうた曲名リスト

VOL.294 * 2005/03/31


「海岸通」 

大分県の津久見出身で大分市の舞鶴高校を出た伊勢正三は、地方の進学校を
卒業した誰もが味わう友との春の別れを経験したと思われます。
それは「なごり雪」で描かれた長距離客車列車を見送るプラットフォームでも
あったろうし、大分港や別府港から関西や四国を結ぶ大型フェリーを見送る埠頭
でもあったでしょう。私らの学生時代もそのときの気分や切符の取りやすさに応じて
汽車と船を使い分けていました。表題曲の冒頭の「あなたが船を選んだのは」という
フレーズにはそんな背景があります。この曲の醍醐味はやっぱりサビの
「あなたをのせた船が」の部分のD-D#dim-Em のせつない盛り上がりの美しさでしょう。

役に立つ買物情報も毎日更新していますのでどうぞ

VOL.293 * 2005/03/30


花咲く丘に涙して 」 ウィルマ・ゴイク

1960年代にはイタリアンPOPSの祭典「サンレモ音楽祭」の入賞曲が日本でも
すぐに話題になり多くのヒット曲も生まれました。確かになんともせつなくて、
それでいて気持ちのいいメロディが次から次へと出てきたのです。
表題曲は1965年の入賞曲で彼女は翌年も「花のささやき」で入賞し、
日本の小学生の耳にもしっかり馴染みました。今になりネットのお陰で
原詞の意味まで調べられますが、都会に出て行った恋人を案じながら
田舎で便りを待ち続ける娘という「木綿のハンカチーフ」的な内容ですね。
名前はゴイクじゃなくゴイチと読む説も有るみたいですが、イメージを優先したのでしょう。


VOL.292 * 2005/03/29


「桜三月散歩道」 井上陽水

桜が咲き花見気分になるのを待っていたのですがその前に三月が終わりそうになりました。
この曲の作詞者は漫画家の長谷邦夫氏となっています。それというのも元々は
1973年発行の雑誌「まんがNo.1」3月号付録ソノシート用に作られた曲なのです。
この雑誌は赤塚不二夫責任編集のもとにそうそうたる執筆陣を擁した破天荒の
漫画総合誌とでもいうべきもので、豪華かつ先鋭的な内容の故に採算が取れず
次の4月号を最後に惜しまれつつ姿を消しました。他の号の紙製レコード・ソノシートに
クレジットされている名前には山下洋輔中村誠一三上寛中山千夏などの名があります。
「狂った花が咲くのは三月」と歌いますが、他の号の曲と較べるとまともで美しい曲でした。



羽良多平吉画伯によるソノシート盤面(現物をコラージュ)


VOL.291 * 2005/03/28


「空の終列車」 ザ・スプートニクス

スプートニクスはスウェーデンのエレキギター・インストルメンタルバンドです。
バンド名は1957年に世界で最初に打ち上げられた人工衛星の名称から取られ、
レパートリーやステージ衣装などにも宇宙開発トレンドの影響を強く感じさせました。
リードとリズムのギターにドラムとベース、加えて電気オルガンが入るところが
SFムードでなおかつ哀愁を漂わせるという彼ら独自のサウンドを生みました。
もっとも表題曲にしてもロシア民謡「トロイカ」をちりばめた「霧のカレリア」にしても
世界で最も好まれたのは日本でだったようです。ベンチャーズと同様に
日本の曲のカバーや日本録音のシングルなども残しています。


VOL.290 * 2005/03/27


朝もやの中で」 ペドロ&カプリシャス

パーカッションのペドロ・梅村がリーダーとなって30年前に結成されたグループです。
初代ヴォーカルの前野曜子のときに「別れの朝」がヒット、そして高橋マリ(真梨子)
にヴォーカルが代わって都倉俊一作曲の「ジョニィへの伝言」、「五番街のマリーへ」
と次々にヒット曲がうまれます。「別れの朝」はオーストリアの歌手ウド・ユルゲンス
「夕映えの二人」になかにし礼が詞をつけたものでしたが、外国曲と歌謡曲の境界の上で
独特の仮想世界を広げるスタイルはその後もこのグループならではの持ち味です。
表題曲もフランシス・レイの曲と安井かずみの詞による作品で、
さわやかで懐かしい雰囲気の音楽世界が作り出されています。


VOL.289 * 2005/03/26


ラヴァース・コンチェルト」 サラ・ヴォーン

この曲の他にもトニー・ベネットの「ストレンジャー・イン・パラダイス」や
ナンシー・シナトラの「レモンのキッス」など1960年代アメリカのポピュラー音楽には、
しばしばクラシックのモチーフを翻案したヒット曲が生まれ、けっしてパクリと
さげすむことの出来ない仕上がりで多くの人に支持されました。
表題曲のもとになったメロディはJ・Sバッハのト長調のメヌエットなのですが、
平面的なチェンバロのシンプルメロディが見事なアレンジとサラの声によって
20世紀の音楽ファンのイメージを膨らませることになりました。
日本のPOPSチャート入りした数少ない女性ジャズシンガーの作品です。


VOL.288 * 2005/03/25


「今日をこえて」 岡林信康

くよくよするのはもうやめて、今日を越えた明日を生きるのさ。
歌の世界とはいえ、そんな風に簡単に言い切ってしまえばいいのかと
岡林は若い頃のオジサン達に教えてくれました。親や学校のつくった壁も
今日が昨日になるように自分との位置関係が自然にかわってしまうものなんだ、
と考えることによって、随分と気楽に感じることが出来たのです。壁に書いてある問題を
解くばかりが答えじゃない、壁に登ってしまったり壁に穴を開けてみるのも、
そして壁にそっぽを向くのも立派な答えなんだと。♪なんとでも言うがいいさ
イイ子でいたいお利口さん あんたにゃ解るまい 今日を乗り越えて 明日に生きる事なんか


VOL.287 * 2005/03/24


「グリーンドルフィンストリート」 ウィントン・ケリー

もともとは1947年の同名ワーナー映画(邦題「大地は怒る」)のテーマ曲として
ブロニスラウ・ケイバーによって作曲されました。そしてネッド・ワシントン
詞をつけてヒット、多くの歌手に歌われることになります。
ジャズ・チューンとしては58年のマイルス・デイビスの演奏以降
スタンダードとなり、特にピアノトリオの名演がめだちます。
ウィントン・ケリーはマイルスのコンボでも活躍したピアニストですが
トリオでリバーサイドレーベルに録音した表題曲は個人的にイチオシ。
ジャズ好きはこの曲のベストがどの演奏か詮索しながら酒を飲むのが好きです。


VOL.286 * 2005/03/23


もう春だね」 友部正人

のどかな光景の中に心の襞を感じさせる「情景」描写がとにかく得意な人です。
表題曲は確か1枚目と2枚目のアルバムの中間に出たシングルですが、
晴れた平日の動物園の昼下がりを舞台に、悶々とした若者の心情が綴られます。
♪君は君で よかったし、 僕も僕で よかったよ
情景描写の中に独り言のようなフレーズが挟まる効果がヌーベルバーグのシネマ
のような楽しさを聴くものにあたえます。高校生だった私は
真似して歌いながら、想像力の翼をひろげ詩人に感情移入していました。
 


VOL.285 * 2005/03/22


「遠い初恋」 リズ・ダモン&オリエントエクスプレス

初恋などという言葉がなんとなく当てはまる季節に、空気のように近くを
駆け抜けたきり帰ってこない、そんな形容をしたくなる曲です。
リズ・ダモン(デーモン)とそのグループはハワイのホテル専属バンドだったようです。
日本で広く知られたのはほとんど表題曲(原題 Nineteen-hundred Yesterday)だけですが
どこか遠くなつかしい所から聞こえてくるような幻想的な響きが忘れられません。
メロディも、歌詞も、ハーモニーも、音質もすべてがソフトフォーカスに仕上げられ、
千九百日まえの記憶のようにおぼろげに漂っています。
Like smoke from a cigarette, dreams that you soon forget and night has no day.


VOL.284 * 2005/03/21


「雨がやんだら」 朝丘雪路

なかにし礼筒美京平、朝丘雪路それぞれの個性が溶け合った歌謡曲の世界が
ここにはあります。わたしにとっては大人の世界を覗き始めた頃、例えば大橋巨泉司会の
TV番組「11PM」レギュラーのホステスとして朝丘雪路の存在はアダルトなムードの
象徴でした。ただ「雨がやんだら」にしても今ひとつピンとこなかったのか、
♪あなたが作った インクのしみを 花瓶をずらして 隠しましょう… こんな部分が
もっとも印象に残っているので、まだまだガキだったんですね。
今聞き直せば昭和40年代のあちこちに存在したであろうロマンの片鱗が蘇ります。
♪雨がやんだら わたしはひとり あなたのガウンを まとって眠る。


VOL.283 * 2005/03/20


「ブルーベリー・ヒル」 ルイ・アームストロング

サッチモのみならず多くのジャズ・ポピュラーミュージシャンに愛されている
ナンバーですね。作詞作曲はアル・ルイスラリー・ストックヴィンセント・ローズ
3人がクレジットされています。1940年の作らしいですが、世に広めたのは
独特なR&Bスタイルのピアノ弾き語り、ファッツ・ドミノによってです。
そしてサッチモの味付けによりワイルドな果実が洗練されたジャムの味わいへと
変わりました。ブルーベリーは今でこそ生から様々な製品まで身近に手に入りますが
私がこの曲に出会った70年代には国産ジャムもほとんど無く、辞書で調べて
釣鐘状の花の咲く低木の果樹などという説明から想像を広げていました。


VOL.282 * 2005/03/19


「しあわせ芝居」 桜田淳子

曲の冒頭から♪こいびとがいまーす こびとがいまーす、と繰り返すというのも
初めて聞く人にとって「何だこれはっ」と思わせる中島みゆき作品一流の
独創性なのですが、これを桜田淳子が歌うというところがさらに我々を
不思議な世界へいざないました。この人の後期の楽曲には「化粧」にしても
アイドル歌手から遠く離れたところへ行って歌の中で女優を演じている、
そんな魅力がありました。思えば1985年NHK朝の連続TV小説「澪つくし」
でヒロイン沢口靖子の腹違いの姉の役を演じて、上手い女優へと充実した時期です。
もし現役だったら、田中好子風吹ジュンに比肩する存在だろうにと残念です。


VOL.281 * 2005/03/18


「太陽のあたる場所」 エンゲルベルト・フンパーディンク

邦題と原題 A Place In The Sun ともに聞いただけでおだやかな雰囲気になれる
言葉ですね。1966年に16歳だったスティーヴィー・ワンダーがまずヒットさせました。
作詞ロナルド・ミラー、作曲ブライアン・ウェルズ。ただし日本では大きな話題にはならず、
多くの人が知るようになったのは73年に英国のマダムキラー歌手フンパーディンクの
カバーが大ヒットしてからです。ハ長調にしては特殊なコード進行で
Dm7-G7-C-Am7-Dm7-G7-C、上のほうから安定した場所へとふりそそぐ陽光
をイメージさせるメロディラインが耳に心地よいです。もっとも当時のロック少年達
からは、軟弱日和見音楽としてあまり相手にされなかった記憶もあります。


VOL.280 * 2005/03/17


「いやんなった」 憂歌団

はじめて見る若い人の中には氣志團を連想した方もいるかもしれませんが
70〜80年代に活躍したブルース=憂歌テイストのあふれる実力派バンドです。
アメリカのカントリーブルーズと大阪の土着庶民文化の幸福な融合がありました。
表題曲はアメリカンブルースのスタンダード「トラブル・イン・マインド」に
触発された彼らの初期代表曲です。「わたしんちの 裏木戸にも いつか
陽が差すんだよね」、という意味深いフレーズを♪日の目を見るかも この俺だって
と、いささか強引に歌いきってしまうのですが、木村のアクの強い声と内田のギターからの
強烈なブルースフェイクで奏でられることによって不思議な説得力を生むのです。


VOL.279 * 2005/03/16


「デイ・トリッパー」 ビートルズ

映画「ヘルプ!」からのシングル発売がしばらく続いた後に出たビートルズの
久々の新曲シングルは「恋を抱きしめよう」、そしてB面が表題曲でした。
小学生だった私に刺激的だったのは何といっても間奏に短くはさまれた
ジョージのギターソロ。今考えてみれば特にユニークともいえないフレーズですが
当時”エレキブーム”の一頂点として語られることの多かったビートルズの中では
もっとも「エレキ」が目立ったフレーズだったのです。この曲を聞くたびに、
ほらもうすぐ出るぞとワクワクしながらその瞬間を待った記憶があります。
数年後のセルジオメンデスによるカバーも秀逸、バカラックと通じるものも感じさせます。


「恋を抱きしめよう・デイトリッパー」シングル盤
ビートルズ「恋を抱きしめよう」シングル盤

VOL.278 * 2005/03/15


「だけど…」 高田みづえ

1977年にデビューから表題曲を含め三作目まで、島武実作詞・宇崎竜童作曲
だったのですが、その後も都倉俊一、筒美京平、桑田圭祐、加藤和彦、谷村新司、
村下孝蔵など作曲に限ってもそうそうたる作家にめぐまれたアイドル歌手です。
鹿児島出身のあどけない女学生の風貌で現れて、それでも歌のセンスは
都会派シンガーに負けていませんでした。彼女の声の伸ばし方は独特で
しいて表現するならバスガイド的発声で広い音域をカバーするという他に例のない
歌声です。ルックスのほうは80年代に入る頃から子供っぽさは抜けましたが
九州人にとっては「さつまおごじょ」という連想語の浮かぶ親しみやすい存在でした。


VOL.277 * 2005/03/14


「ジョードゥ」 バド・パウエル

ニューヨーク生まれのピアニスト、デューク・ジョーダンの「危険な関係のブルース」
と並ぶ有名なジャズメロディですね。彼の頭文字DUとJOをひっくりかえして
つなげたジャズマンらしい愛称がそのまま曲名になっています。日本で言えば
渡辺貞夫がナベサダ(それともサダナベか?)になるようなもんです。
デュークは1950年代の末にしばらくフランスに渡りましたが、同時期にパリに
定住していたのがバド・パウエルで表題曲を含むアルバム IN PARIS は63年に
ジルベール・ロベール(b)、カンザス・フィールズ(ds)と組んだトリオの演奏です。
少し枯れた雰囲気の中に名人の気迫も漂う、そんな名盤です。


VOL.276 * 2005/03/13


「春のからっ風」 泉谷しげる

もう春だと思ったあとに身にしみる寒風に晒されたりすると、オジサンたちの
頭の中ではこんな曲が自動演奏を開始します。♪春だというのに
北風にあおられ 街の声にせきたてられ 彼等にあわないから 追いまくられ…
1973年の泉谷しげる四枚目のアルバムに収められています。この前の一時期
彼はキャプテンひろ&スペースバンドというロックユニットをバックにつけて
歌いながら飛び跳ねていた頃がありました。そのあとふと、我に帰って
俺はホントに唄を歌っているのだろうかと、そんな自問自答がうかがえます。
♪誰が呼ぶ声に こたえるものか 望む気持ちとうらはら 今はただ 隙間風を手でおさえ…


VOL.275 * 2005/03/12


「ふたりのシーズン」 ゾンビーズ

自動車のCFなどで、今でもふいに耳にすると心の温度が少しあがります。
ゾンビというグループ名はいかにもロンドンの山の手育ちの青年が思いつきそうな
センスですが、作り出した音楽は非凡なものがあふれていました。
表題曲は彼らの解散後にブレイクして最大のヒットとなったラブソングです。
1969年から70年頃のことですが、当時の洋楽専門誌「ミュージックライフ」だったか
「ティーンビート」だったかにこの曲の楽譜が出ていて私は初めて出会いました。
出だしの語りかけるような独白と、コーラスになったところのテンポの良さ、
それが最後の♪
It's the time of the season for loving_ で見事に融けあいます。


VOL.274 * 2005/03/11


「耳をすましてごらん」 本田路津子

1972年のNHK朝の連続ドラマ「藍より青く」の挿入歌。番組冒頭の
テーマ音楽と別に歌詞付きのイメージソングを作ることが、この時代から
定着したようです。さらに20年後、ドリカムの歌った「ひらり」あたりから
冒頭のテーマそのものを歌詞付きにするパターンも生まれ松任谷由実
「春よ、来い」などドラマそのものを上回るヒットも生まれます。
表題曲は原作者の山田太一による作品。新鮮なイメージでなおかつ
フォーク歌手の中ではNHKとも違和感が無いということで選ばれたのでしょう。
路津子はルツコと読み、旧約聖書の中のルツ記から採られたとのことです。


VOL.273 * 2005/03/10


「ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン」 アート・ファーマー

夕陽に照らされた街角で人気者のヒゲのオッチャンが切れのいいホーンを
奏でるさまが浮かんでくる、そんな一枚です。共演のアート・ペッパー
ハンプトンホーストリオの演奏も暖かく味わい深いものがあります。
表題曲はレッド・ガーランドも良く演奏したマット・デニスの作品です。
「ハドソン川に映る月明かりがロマンチックに見えなくなっても 何が起きても
僕のもので居てくれるかい?」いかにもブロードウエイ風の小唄ですね。
テンポを自在に操りながらテーマを吹くファーマーのフリューゲルホーンで
聴くと、恋人同士の暖かい会話を立ち聞きしているようです。


VOL.272 * 2005/03/09


「この道」 はしだのりひことクライマックス

1971年の大ヒット曲「花嫁」のB面だったと思います。作詞は北山修
フォーククルセダーズ以来のはしだのりひこ的歌唱の真骨頂が味わえます。
裏声を使わず、なおかつ出来るだけ頭のてっぺんから声を出すようにすると
なんとなく真似できますが、この歌い方がもっとも似合うのはやっぱり
北山修の歌でしょう。雪解けの川に沿ってふるさとへ続く道、という設定が
懐かしさや安心感へ誘う上に、春の風にゆれる花の下をひとりふたりと
歩いていく若者の姿に様々な物語が暗示されているような気もします。
故郷に錦を飾るでもなく、挫折して帰るでもない普通の若者とふるさとの幸せな関係。


VOL.271 * 2005/03/08


「モッキンバード・ヒル」 パティ・ペイジ

今時分ちょっと郊外へ出て野道をしばらく歩くと、思いのほか色々な小鳥に出会える
ことに気が付きます。先日もメジロ、エナガ、ジョウビタキ、イソヒヨドリなど一日のうちに
出会えて、いささか感激しました。こんな時に思い浮かべる音楽としては、
ウェザー・リポートの「バードランド」では賑やか過ぎて鳥が逃げてしまいそうなので
1950年代の優雅なワルツを選びました。記憶をたどれば少年時代に
TVの挿入曲(お知らせのBGMなど)によく使われていた気がします。
パティの歌は朝めざめた時に部屋の窓から変わらぬ大自然の恵みを感じられる喜びを
歌いあげるとともに、後段では宗教的な想いの深さもうかがわせます。


VOL.270 * 2005/03/07


「北からの手紙」 渚ゆう子

このコラム始まって以来もっとも演歌っぽいナンバーかも知れません。もっとも、
杉良太郎で同名異曲がありますけどそれとは違います。1975年頃の
三木たかし作品ですね。サックスのイントロから導入部のアレンジは
「ブルース歌謡」の雰囲気そのものなのですが、さすがにベンチャーズ
血を引くゆう子さんはその後が一味違います。特にサビのせつせつと
語りかける部分の歌いかけに、上質の歌謡曲を味わう幸せさえ感じさせます。
この時期の彼女の作品は他にも「信じられない別れ」(川口真)、
「居酒屋すずらん」(みなみらんぼう)などしっとりした名作が多いのです。


VOL.269 * 2005/03/06


「デイ・バイ・デイ」 ボサ・リオ

日一日と春に近づくように、オジサンの青春の始まりごろにはこんな音楽を
友としていました。1970年の大阪万国博覧会がらみで来日したグループ、
ボサ・リオの「サンホセへの道」と並ぶシングルヒットです。ジャズの演奏も多い
スタンダードですが、彼らはセルジオ・メンデスの流れを汲む新しい解釈で
歌詞の内容どおりの生き生きとした喜びの世界を歌い上げます。
「ただ私だけが あなたのもの、そして日一日と私達は 愛に包まれて過ごすの。」
憂いやくたびれの微塵もない、愛の始まりの光り輝いた雰囲気が
あの頃の時代や、私の年頃にも合っていたのですね。


VOL.268 * 2005/03/05


「春一番」 西岡恭蔵

今ごろの時期、強い寒冷前線が北を通過すると南からの突風に襲われる
その第一番目を春一番と呼びますが、邦楽POPSの世界でもこの風情のある気象用語に
イメージを触発されて名曲がふたつ出来ました。キャンディーズゆずもよいけれど
関西系のオジサンがワクワクするのは何といってもこの歌。1970年代に
大阪天王寺公園の野外音楽堂で恒例だったミュージックフェスのテーマソング
でもあるし、3月から5月へ向けて期待を盛り上げる予告編のような曲
でもありました。曲自体の構成も、最初はもったりした出だしで、次に調子をきざむように
盛り上げ♪ヤースガーズファームへ君を 連れて行くだろうか で、カタルシスを迎えます。


「春一番」コンサートの一部ガリ版のチラシ
春一番のチラシ
「春一番」ライブ盤PR プレイガイドジャーナル誌より
ライブ盤の広告より

VOL.267 * 2005/03/04


「サンダーボール 」 トム・ジョーンズ

007シリーズ第4作「サンダーボール作戦」(テレンス・ヤング監督)を
見たのは1966年の今ごろだったでしょうか。単なるスパイ映画以上の
スペクタクルや小道具満載で、ジェームス・ボンド映画の観客層が
ぐっと広がった作品だったと思います。なにせ小学生だった私らが半年後には
黄色い潜航艇やフロッグマンのプラモデルを作りながらトム・ジョーンズの表題曲を
口ずさんでいたのですから。そういえば”ボンドカー”のアストンマーチンを再現した
プラモデルもありました。助手席が飛び出したり、ナンバーが廻ったり、映画に出た車を
忠実に再現していたのですが、決してギャグではなく皆まじめにやっていたのです。


VOL.266 * 2005/03/03


「この愛を永遠に」 由紀さおり

桃の節句のひな壇に並ぶ官女を連想してしまう由紀さおりさんですが、若かった頃は…
記憶を遡ってもやっぱり同じなのです。35年前オジサンの中学生時代に
「夜明けのスキャット」で突然チャートのトップに現れた彼女は、その後
「手紙」「生きがい」そして1971年3月の表題曲と、最初から御姉さま路線の
雰囲気で首尾一貫しています。本人が望んだのか周囲がお膳立てしたのか
定かではありませんが、年齢でガラッと変化しないぶん聞くほうとしては
妙に気を回さずに安心して聞けます。休日の昼下がりにでもカウチに寝そべって
彼女の声に包まれたい。♪広いこの世の中で めぐり逢えたの あなたの愛に


VOL.265 * 2005/03/02


「グッドバイ」 メリー・ホプキン

中学・高校の卒業式の最後に卒業生を送り出すときのBGM好適曲として
紹介させていただきます。別れのつらさは事実として認めながらも、
若さの持つ喜びと、少しのせつなさを併せ持つ歌声でポジティブな人生へ
送り出してくれそうな歌なのです。1969年に当時ビートルズ、特に
ポール・マッカートニーが中心にプロデュースしたキュートな女性シンガー、
メリー・ホプキンによって歌われました。作曲ももちろんポールです。
出だしからメロディに乗りの良い言葉が、胸に心地よく響きます。
Please don't wake me Until late  tomorrow comes  And I will not be late...



VOL.264 * 2005/03/01
 


「卒  業」 斉藤由貴

梅春物の定番の中でも「なごり雪」や「サボテンの花」ほど再演頻度が高くないもので
手頃な曲がないかと探していたら面白いコンピレーションを見つけました。
30〜35歳の年代が強烈に反応する楽曲を集めて編集したCDマガジンの
第0号「卒業」特集です。曲目リストを御覧いただけばわかりますが、
お決まりの定番からちょっとカルトな曲まで限られた年代の中で卒業テーマの曲が
けっこう世に出ていることが一目でわかります。この中でオジサンの一番好きな曲は
やっぱり松本隆筒美京平による表題曲でしょうか。ちょっと現実離れの雰囲気を帯びた
メロディとアレンジが20年の時を経て輝きを増しているような感じさえします。



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