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OYAJI NO UTA

by 安藤弘志

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オヤジのうた曲名リスト


VOL.584 * 2010/06/30


「水曜日に会いましょう」 
カズン

2010という、妙に割り切れる感じの年号も今日で上期の最終日ということになります。
今年は参議院選挙とFIFAワールドカップの真っ最中にこの日を迎えます。
昨夜は生涯の記憶に残る夜更かしをした少年少女も多かったのでは。
こんな日にふさわしい曲として思いついたのが、さわやかな男女デュオによる
表題曲。同じ会社の、出来たばかりのカップルが、初めてのデートをする
水曜日のお昼前を歌ったサンバ調の明るい曲です。たぶん小売業種の、
土日がかきいれどきの会社。だから休日シフトは各人の希望を調整して
平日に割り当てられます。会社の誰もしらないけれど、「出会って初めての
一緒の休み」のうきうきした気分が溢れています。おそらく作者である二人も
そんな業界に身を置いた経験があるのでしょうか、ある意味画期的な曲ですよね。
♪土曜日でも 日曜でもない  水曜日に会いましょう



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VOL.583 * 2010/06/08


「畳の上のi-pad」

セガレが発売間もないアップルのi-pad を貸してくれました。
大きすぎず、重すぎないギリギリのサイズを工夫した跡がうかがえます。
メールを作るときには、画面下半分がキーボードになって、携帯よりも
格段にタイピングは楽です。でも、コピー&ペーストの操作などは、
それなりのコツはあるそうですが、ワタシらにゃマウスがないと、やっぱ不便。
ノートパソコンの代わりには少々不満だと、メインの用途は電子書籍でしょうか。
記念にと、英字紙のサイトを開いて、畳の上で記念写真をとりました。
これを見ながら、そろそろ新聞はこの機械に置き換わってもいいかなと、
そう思うようになりました。各新聞社が購読者に無料で専用端末をリース
するなら、急速に普及する可能性もあります。ただ問題は、家庭のネット環境の
ばらつきが障害になるので、地デジチューナーから有線でダウンロードするとか、
発想の転換が必要でしょう。それにしても日本の茶の間の畳の上で、
黒塗りのお盆の中に絵が現れて、ポール・マッカートニーがオバマ大統領の
前で"With a Little Help from My Friends"を歌った記事が即座に読めるなんて…。


畳の上のアイ・パッド画像




VOL.582 * 2010/06/02


「スター・アイズ」 チャーリー・パーカー

家で仕事をしながら、久し振りに、本当に二十年以上聴いてなかった
チャーリー・パーカーのレコードをかけていたところ、鳩山首相辞任の
ニュースが飛び込んできました。それで思ったのは、ソーリ大臣の辞めた日に
チャーリー・パーカーのJAZZがなんて似合うんだろうという変な感想です。
「宇宙人」と呼ばれた鳩山さんに表題曲を捧げることにしましょう。
政治の巨大な力学のただなかで曇ってしまったのかもしれないけれど、
彼の両のマナコには輝く「星」が光っていたのではないでしょうか。
根拠は無いのですが、彼を端緒としてこれから世界のアチコチで
宇宙的次元から「友愛」を語る政治家がぽつぽつと現れるような気がします。
稀しくも、今年はパーカー(愛称:バード)の没後55周年にあたります。




VOL.581 * 2010/05/21


「まだまだ普天間」

小欄でも去年からたびたび取り上げる普天間基地に象徴される日米問題。
前回までは鳩山さんに一定の評価をしていただけに、一言文句をいわずには
居れなくなりました。「政権を取って抑止力について学んだら考えが変わった」って、
一体何を学んだのか説明がありませんが、国家間の機密とでも誤魔化すつもりでしょうか。
このままうやむやに原案の微修正でお茶を濁されて、海兵隊に2兆円も使われては、
事業仕分けの苦労も報われません。第二自民党化に進む民主党には参院選で
痛い思いをしてもらうしかないでしょう。鳩山さんへの心配はもうひとつ、韓国艦沈没の
調査結果に対して、あまりにも簡単に同意して韓国への支持を表明したことです。
そもそも緊張の高い場所で、哨戒が任務の軍艦が何の察知も出来ずに魚雷を受けて、
原因特定に二ヶ月も掛かるのも謎ですし、北の軍が戦果を誇示するでもなく、
「工作」にしては、ハングル文字など解りやす過ぎる証拠が出るのも何か変です。
お隣の国では選挙も控えているそうで、韓国時代劇でよく出てくる、
政敵を嵌めるための謀略の可能性まで推理したら、勘ぐりすぎでしょうか。
事態がきな臭くなるほど、隣国としては冷静で公平で客観的な立場が大切です。
もしも半島で戦争があったとしたら、海兵隊は在韓米軍を守る活躍はするでしょうが、
日本にその基地があることが、日本の安全にプラスかどうか想像をめぐらす必要があります。



VOL.580 * 2010/05/04


「緑のかがやき」 高田みづえ

緑の休日に、みずみずしい音楽。ささやかな幸せです。この曲は1981年のNHK
「みんなの歌」で放映されたらしいのですが、私はシングル盤「夢伝説」の
B面で出会いました。ミディアムテンポのワルツはちょうど岩崎宏美さんの
あざやかな場面」を思わせる私好みの出来上がりです。原曲を作った
M.Markerinkという人については検索しても不明でしたが、ヒルビリーという
言葉が似合うようなジャンルの曲でしょうか。みづえさんは、伸びのある裏声で
出だしの雰囲気を見事に盛り上げます。山上路夫さんの訳詩の内容は
カントリーの名曲「想い出のグリーングラス」に通じるような世界です。
♪愚かだった私 どうか許してね お帰りとあなたの声 ふるさとに帰ったの


高田みづえ「夢伝説」シングル盤ジャケット
高田みづえ「夢伝説」シングル盤ジャケット
 


VOL.579 * 2010/04/19



「プアボーイ」 熊倉一雄

井上ひさしさんが今月九日に亡くなられて、何か私なりに書きたいと思いながらも、
ようやく十日目に思いが綴れそうです。実家から1974年2月の筑摩書房刊の
総合雑誌「終末から」創刊5号を捜し出して、手許に置くことが出来ました。
この雑誌は、世紀末が徐々に意識し始められていた最後の四半世紀突入直前という、
微妙な時期に、一種開き直った人々の手により突如開花し、間もなく散ったあだ花の
如き不思議な月刊誌でした。井上氏の代表作「吉里吉里人」はこの雑誌の創刊号から
連載が始まり終刊と共に休載となり期を置いて小説新潮へ移ることになります。
ところで手許の「終末から」には「美しい明日を」と題された井上ひさし歌集が、
とじこみ付録として入っています。佐々木マキ・馬場のぼる両氏による挿画に、
歌詞と楽譜もついた素敵な24頁です。なかでも私が最も好きなのは表題曲の、
ひょっこりひょうたん島挿入歌です。やたらはしゃいでは、純真な子供たちに
変なことを吹き込むかと思えば、時にしんみりと落ち込む場面で決まって唄われた
物悲しいバラードです。♪プアボーイ、プアボーイ、かわいそうーなトラヒゲ、
プアボーイ、プアボーイ、ウチからとーおく離れて…。
宇野誠一郎さんの造る何ともマイナーなメロディは演歌でもブルースでも無い
不思議な郷愁なのですが、この感覚を共有できるのはどれ位の人たちでしょうかね。


雑誌「終末から」5号より、トラヒゲのプアボーイ楽譜
雑誌「終末から」5号より



VOL.578 * 2010/03/28



「青い水平線」 和泉友子

開花宣言のあとしばらく、雨やら寒の戻りやらで足踏みしたような熊本の桜も、
今日は日差しの中でいよいよ満開へとダッシュし始めたようです。
恒例の「二階から独り花見」のBGMは、30年前の若い歌声で始めました。
作曲の穂口雄右(ほぐちゆうすけ)さんは、キャンディーズの主なヒット曲を
手がけた作編曲家ですが、同じCBSソニー和泉友子さんのデビューシングルでも
力のこもった楽曲を提供しています。表題曲は、抑制の効いた出だしから一転、
サビの転調で解放されて、後サビで見事に陰陽が止揚される
♪いつかは見えてくるわ あおい 水平線 あなただけ 好きよ…
いいですね。彼女の歌声も、高田みづえに通じるものがあるのですが、高田さんが
鹿児島市天文館の歌声とすれば、名古屋市栄ぐらいの街の雰囲気。
本当は和泉さんは東京都出身らしいですけど、絶妙なローカルの色が感じられます。
ふと気づきましたが、彼女は山口百恵さんと同じ1月17日生まれのようです。



「青い水平線」シングル盤ジャケット
「青い水平線」シングル盤ジャケット



VOL.577 * 2010/03/07


「至福のスポーツ黄金時間」

雲が垂れ込めてうすら寒い日曜の午後。でもスポーツ好きには楽しくも忙しい
ひとときでした。中山競馬場の弥生賞では武豊騎乗のヴィクトワールピサが、
窮屈な道悪の内ラチぞいをこれしかないというようなコース取りでみごとな勝利。
お隣の松戸競輪場の日本選手権決勝は、京都の村上兄弟のワンツーで決着。
向日町競輪廃止の危機もこれで遠のくでしょうか。BS4から8にチャンネルをかえれば
直後に下関競艇場の女子王座戦がスタート。一号艇の寺田の勝利は順当でした。
地元のサッカーJ2開幕戦はジェフが1−0で勝利秒読みのロスタイムに熊本DFの
市村選手がまさかの同点ゴール。終盤ジェフの時間稼ぎのような選手交代が、
ゲームのムードを密かに変えていたような気もします。最後に女子ゴルフの
国内開幕戦は、韓国のアン選手のぶっちぎり優勝。TV中継は7位の宮里藍を
中心にした映し方に終始。勝者を正しく評価しない報道は特にゴルフに多いような気が。



VOL.576 * 2010/02/12


「ジン・ハウス・ブルース」 浅川マキ

もしかしたら残っているかもと、実家に帰って古いノートを捜したら、やはり在りました。
京都で浅川マキのコンサート前の姿を目撃した時のスケッチです。1975年の八月末日、
円山公園野外音楽堂で山下洋輔トリオ泉谷しげると一緒のコンサートでした。
自由席の野音ですから良い席をとろうと早くから並んでいたのだと思います。
ふと塀の隙間を覗くと、リハーサル中のマキさんの姿が眼に入ったのです。
お決まりの黒ずくめとは打って変わって、ジーンズにドレスシャツ、当時はやりの
トンボメガネといった形が珍しく、帰ってからどうしても書いておきたくなったのです。
ニーナ・シモンのナンバーを彼女が訳した表題曲が当日の曲目にあったか、
今となっては定かではありませんが、どこか遠ーいところの酒場で今頃彼女が
つぶやくように唄っているでしょうか ♪ね、おごってよ誰か ジンを一杯さ・・・






VOL.575 * 2010/01/18


「ブルースピリットブルース」 浅川マキ

♪ゆうべ わたしが死ーんだ イヤな夢を 見たのさ… 三十年以上前のお正月に
初めて聴いたレコードはこんな歌い出しで始まるものだったのです。考えてみれば、
「セントジェームス院」、「あの人が死んだら」、「死春記」など彼女の唄にはわりと
気軽に死が扱われていました。不思議にさらっと扱われていました。
決して忌むべきものして避けたくなるような唄ではなかったのです。さすがにダミア
「暗い日曜日」のカバーだけは度々聴きたいとは思いませんでしたが。
「トラブル・イン・マインド」で一旦線路に横たわった後に、もいちど陽が差すかもしれないと
歌われたように、暗さとセットになった圧倒的な希望を伝えてくれる歌手でした。
近況について、断片的に「衰えている」という話を聞くこともありましたが、
公演旅行中に倒れるとは、余りにも彼女らしくて、それだけに辛いですね。
山下洋輔 + 萩原信義のバックで歌っていた頃の曲を久しぶりに聴きたくなりました。



VOL.574 * 2010/01/03


「年頭酒中雑感」

元旦こそ時々雪がちらつく天気でしたが、昨日今日はほぼ晴天で、熊本は
のどかなお正月を迎えています。CD-Rが必要になってディスカウントストアへ
買い物に行ったのですが、途中道路がえらく込んでいて、何事かと思ったら、
神社に初詣におしかけた車が駐車場の入口で詰まっているのでした。
そこでふと考えてしまったのですが、あの人たちは、苦労して拝殿までたどり着いて、
お賽銭を気前よく出して、それから手を合わせる時に、祈る対象について
どれぐらい意識しているのだろうかということです。受験生や学者じゃなくても、
学問の神様の天神様に祈るし、ばくち打ちや軍人じゃなくても勝負事の神様の
八幡様にお参りしているんだと思います。神様の注目を引くために鈴をならしたり
しますが、神殿の奥のどこらへんに、どんなカタチで神様がいらっしゃるのか
明確にイメージしながら祈る人はほどんどいないのではないでしょうか。
キリスト教やイスラム教の神に対して外国人が祈るときの態度に較べてみると、
日本の神仏に参る善男善女のアバウトな祈りは、特殊なものかもしれません。
神社そのものには、「現人神」のもと「聖戦」を戦った悪夢の一時期の名残が
まだ少し在るので気にはなりますが、のどかな日本の正月はとりあえずお目出度いのです。